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2026年2月7日土曜日

外部カメラで指認識連動→40年前の記憶を想起

 

普通の安いLogi外部カメラ(USB)と連動
UIは時間が勿体ないからチャッピーに任せてます。
(最近、似たUIが多いのはそのせいで、それは僕の中では良しとしています)




外部カメラで指認識連動 動画


やることが古いけど、なんでも実験君する!



指の動き

→ 図形認識

→ 図形に意味がある

→ 40年前を検索した


そう思われるかもしれないけど、でも今回の創作アソシアトロンはそうじゃない。



指の動き(状態)

→ センサーから低次元の断片ベクトル

→ 内部のアトラクタ空間に投げ込む

→ 一番深い盆地に落ちる

→ たまたまそれが40年前だった

ということ。


「一緒じゃん!?」
違うんだってば。


図形とか、検索とか、
存在していない。


全部力学

意味を付けて考えるのではなく、「状態空間」で捉えるのが想起です。


図形 → 意味 → 記憶  ではなく

状態 → 引力 → 落下

うちの奥さんに説明するのに2年かかったように
指の動き → 図形認識 → 40年前を検索のように置き換えられてしまう。

外輪(外界)はあくまでもトリガでしかなく
出てくるのは内輪(内部)の積(一人称)


いわゆる外部の命令は一切ないということ。



1. 外部入力は「認識」ではなく初期状態

指の動き → 描画 → 64×64

これをベクトル化:

x0{1,+1}N,N=4096x_0 \in \{-1,+1\}^{N}, \quad N=4096

ここで重要なのは:

入力 = クエリではない

x0=initial statex_0 = \text{initial state}

つまり

System dynamics: xt+1=F(xt)\text{System dynamics: } x_{t+1} = F(x_t)


2. 記憶はアトラクタ集合

各部屋 r に記憶パターン

mr,k{1,+1}Nm_{r,k} \in \{-1,+1\}^N

重み

wr,kw_{r,k}

部屋キー( room.key):

Kr=sign(kwr,kmr,k)K_r = \text{sign}\left(\sum_k w_{r,k} m_{r,k}\right)

これは

部屋の代表アトラクタ


3. 部屋選択 = 文脈競争

Gate入力(部分マスク)

qgq_g

部屋スコア:

sr=1MgiMgqg(i)Kr(i)s_r = \frac{1}{|M_g|} \sum_{i \in M_g} q_g(i) K_r(i)

(部分内積)

Top2選択:

R=TopK(sr)R = \text{TopK}(s_r)


4. 部屋内競争

Memory入力:

qmq_m

各記憶との一致:

ar,k=1MmiMmqm(i)mr,k(i)a_{r,k} = \frac{1}{|M_m|} \sum_{i \in M_m} q_m(i) m_{r,k}(i)

部屋の最良記憶:

k(r)=argmaxkar,kk^*(r) = \arg\max_k a_{r,k}


5. 最終競争

コード:

finalr=ar,k+λsr\text{final}_r = a_{r,k^*} + \lambda s_r

ここで

λ=0.15\lambda = 0.15

勝者:

r=argmaxrfinalrr^* = \arg\max_r \text{final}_r


6. ドア条件(閾値系)

open if\text{open if}
finalr>θ\text{final}_{r^*} > \theta

かつ

finalrsecond>Δ\text{final}_{r^*} - \text{second} > \Delta

かつ

coverage>ϵ\text{coverage} > \epsilon


競争型アトラクタ選択


7. 想起 = 力学収束

ここが「図形認識ではない」本体。

初期状態:

x(0)=x0x^{(0)} = x_0

更新(低ランク):

x(t+1)=sign(kwr,kϕ(ak)(mr,kx(t))mr,k)x^{(t+1)} = \text{sign}\left( \sum_k w_{r^*,k} \, \phi(a_k) \, (m_{r^*,k}^\top x^{(t)}) \, m_{r^*,k} \right)

ここで

ϕ(ak)=max(0,ak)\phi(a_k) = \max(0, a_k)

これは実質:

選ばれた部屋のアトラクタ場


8. 重要な解釈

通常AI:

inputlabel\text{input} \rightarrow \text{label}

今回の創作:

x0argminEr(x0)x_0 \rightarrow \arg\min E_r(x_0)

エネルギーで書くと:

Er(x)=kwr,k(mr,kx)2E_r(x) = - \sum_k w_{r,k} (m_{r,k}^\top x)^2

つまり

40年前が出た理由=\text{40年前が出た理由} = E40(x0)<Eothers(x0)E_{40}(x_0) < E_{others}(x_0)


9. 一行で書くと(これが本質)

今回の創作:

r=argmaxr[maxkqm,mr,k+λqg,Kr]r^* = \arg\max_r \left[ \max_k \langle q_m, m_{r,k} \rangle + \lambda \langle q_g, K_r \rangle \right]

その後

xattractor of rx \rightarrow \text{attractor of } r^*


10. だから何が起きているか

指の動きは

x0x_0

を与えただけ。

40年前が出たのは

40年前の盆地が一番深かった\text{40年前の盆地が一番深かった}

つまり:

External inputkey\text{External input} \neq \text{key}
External input=initial condition\text{External input} = \text{initial condition}


11. これが一番短い数式表現

このシステムは:

x0argminrEr(x0)x_0 \rightarrow \arg\min_r E_r(x_0)

そして

x(t+1)=Er(x(t))x(t+1) = -\nabla E_{r^*}(x(t))

(離散版)




---------------ちょびっと番外編------------


標準のホップフィールドでは、今回の創作アソシアトロンが起こしている現象はほぼ起きません。

なぜかを、力学と数式で整理します。


1. ホップフィールドの基本構造

ホップフィールドでは、記憶は1つのエネルギー関数に全部入ります。

重み:

W=p=1PξpξpTW = \sum_{p=1}^{P} \xi_p \xi_p^T

エネルギー:

E(x)=12xTWxE(x) = -\frac{1}{2} x^T W x

更新:

xt+1=sign(Wxt)x_{t+1} = \text{sign}(Wx_t)

つまり世界はこうなっています:

1つのエネルギー地形

  • 全記憶が同じ空間に混在

  • すべて同じ「時間軸」


2. 何が起きるか(重要)

ホップフィールドでは、

入力 x0x_0 に対して

recall=argmaxpx0,ξp\text{recall} = \arg\max_p \langle x_0, \xi_p \rangle

つまり実質:

最も相関が高い記憶 = 勝者

ここにある特徴:

  • 文脈なし

  • 部屋なし

  • 時代なし

  • 競争は「全記憶一括」


3. だから起きない現象

今回のケース:

断片Cue → 40年前が勝つ(最近ではない)

ホップフィールドでは通常:

(A) 最近バイアスが強くなる

新しい記憶ほど:

  • ノイズが少ない

  • 干渉が少ない

  • basin が大きい

結果:

最近の記憶に吸われる


(B) 古い記憶はどうなるか

時間が経つと:

  • 干渉で basin が縮む

  • スプリアスが増える

  • 消える

つまり:

Old attractor depth\text{Old attractor depth} \downarrow

だから

40年前が勝つ確率は極めて低い


4. なぜ今回の創作アソシアトロン系では起きるか

構造はこう

Step1:部屋選択

sr=qg,Krs_r = \langle q_g, K_r \rangle

Step2:部屋内競争

ar,k=qm,mr,ka_{r,k} = \langle q_m, m_{r,k} \rangle

Step3:最終

finalr=ar,k+λsr\text{final}_r = a_{r,k^*} + \lambda s_r

ここで重要なのは:

競争は「全記憶」ではない

まず

文脈(部屋)で空間を分割

つまりエネルギー的には:

E(x)=minrEr(x)E(x) = \min_r E_r(x)

これはホップフィールドには無い構造です。


5. 物理的な違い(本質)

ホップフィールド

1つの地形

全部の記憶が同じ山にある

結果:

  • 最近の谷が深い

  • 古い谷は浅い

  • → 最近に落ちる


今回のアソシアトロン系

複数の地形

部屋ごとに別の山

処理は:

  1. どの山を見るか決める

  2. その山の中で落ちる

だから:

40年前の山が選ばれれば、そこに落ちる

時間距離は関係ない。


6. 数式での違い

ホップフィールド:

r=argmaxpx0,ξpr^* = \arg\max_p \langle x_0, \xi_p \rangle

アソシアトロン系:

r=argmaxr[maxkqm,mr,k+λqg,Kr]r^* = \arg\max_r \left[ \max_k \langle q_m, m_{r,k} \rangle + \lambda \langle q_g, K_r \rangle \right]

つまり:

二段階の非線形選択

これが:

  • 文脈ジャンプ

  • 遠い過去の勝利

を可能にしています。


7. もう一つの大きな違い

ホップフィールドは

メモリ数が増えるほど性能が悪化

容量:

P0.138NP \approx 0.138N

4096なら:

約560記憶

それ以上で:

  • basin崩壊

  • スプリアス地獄

今回の創作アソシアトロン系は:

部屋分割 = 容量分割

これは実質:

階層型アトラクタ


8. 一番短い違い

ホップフィールド:

最近・強い・多数派が勝つ

アソシアトロン系:

文脈が合えば、遠い記憶でも勝つ


9. だから重要なポイント

今回の実験:

  • カメラの断片

  • 低coverage

  • smellなし

  • それでも40年前OPEN

これは:

単一アトラクタ系ではほぼ起きない挙動

理由:

context switching\text{context switching}

が入っているから。




アソシアトロンでなければ

指の動き → 図形 →想起

に見えてしまうが、アソシアトロンは

指の動き(状態パターン) → 内部競争 → 40年前が勝つ



これは「40年前の部屋が、断片Cueだけで勝ち切って、扉が開いて想起(収束)に入った」ログ

1) covGate=2.0% / covMem=2.0% / smell=OFF

covGate / covMem とは

  • covMem:描いたピクセルの割合(メモリ用Cue:qMem/mMem

  • covGate:扉判定に使うピクセルの割合(ゲート用Cue:qGate/mGate

このコードでは smell=OFF のとき

  • mMem と mGate はほぼ同じ(描いた点がそのまま通る)

  • だから covGate ≒ covMem になる

2.0% ってどれくらい?

N=4096 なので
4096 × 0.02 ≒ 82点 くらい描いてる。

これは「断片Cue」としてちょうど良い量で、多すぎて余計な点が混ざる(8〜9%)より落ちやすい。少なすぎて一致判定が不安定(0.1%以下)でもない。



2) winner: 40 years (mem#0)

ここは二段階の勝者決定がある。

(A) まず部屋の候補を選ぶ(Top2 rooms)

  • scoreRoomByKey(room)各部屋のスコアを出す

  • それを並べて 上位2部屋(Top2) を選ぶ

この scoreRoomByKey は、

  • その部屋の room.key(部屋の代表パターン)と

  • qGate(描いた断片)との一致度(平均内積)
    で決まる。

(B) 次に、候補部屋の中で「どの記憶が勝つか」を競争する

候補の部屋ごとに

  • bestMemInRoom(room) を計算して
    その部屋で一番合う記憶(mem)を探す

そして「部屋+そのベスト記憶」の組を比較して最終勝者を決める。

この結果が:

  • 40 years の mem#0 が、全候補の中で最も良かった


3) final=0.41 / margin=0.97 / θ=0.28 Δ=0.10

ここが「扉が開くか」の核心。

final の正体

ログにもある通り:

  • finalScore = memScore + 0.15*roomScore

つまり final は

  • memScore(その記憶が断片Cueとどれだけ一致したか)

  • + 少しだけ roomScore(その部屋の鍵とゲートCueがどれだけ一致したか)
    の合成点。

今回 final=0.41 は、閾値 θ=0.28 より上なので

  • 「一致度は“十分”」側に入ってる。

margin の正体

bestAcrossRooms(topPairs) の中で

  • 1位の final と

  • 2位の final の差
    margin

今回 margin=0.97 はかなり大きい。

意味は:

  • 「僅差で勝った」ではなく

  • 競争として圧勝している
    (2位がまるで届いてない)

θ と Δ は何の役割?

  • θ(theta):絶対的に「鍵が回った」と言える最低ライン
    → final がこれを超える必要がある

  • Δ(delta):勝者が“はっきり勝った”と言える差
    → margin がこれを超える必要がある

今回:

  • final 0.41 > θ 0.28 

  • margin 0.97 > Δ 0.10 


4) door: OPEN

扉判定式はこれ:

open if (final>θ) AND (margin>Δ) AND (covGate>min)

今回それぞれ確認すると:

(1) final > θ

0.41 > 0.28 

(2) margin > Δ

0.97 > 0.10 

(3) covGate > min

min はコードで 0.002(0.2%)

  • covGate 2.0% > 0.2% 

→ 3条件ぜんぶ成立なので OPEN


5) writeRoomId=Cnow

これは重要で、誤解しやすいポイント。

  • writeRoomId は「学習(Learn)で書き込む先」

  • Recall の勝者決定には関与しない

デモの思想どおり:

学習ターゲットと想起ターゲットは独立

だから「書き込み先が Now でも、想起は 40 years が勝つ」ことが起きる。


6) Gate: qGate ... / Memory: qMem ...

ここは設計思想そのもの。

  • Gate(qGate):部屋の扉を開ける/候補部屋を絞るためのCue

  • Memory(qMem):部屋内の記憶同士を戦わせるCue

僕はこの二段階に分けたから、

  • 「部屋は“文脈”として選ばれる」

  • 「その部屋の中で“エピソード”が競争する」
    という“人っぽい”流れになってる。

smell=OFF だと qGate も qMem もほぼ同じ断片だけど、
将来 smell を入れると

  • Gateは匂いで通る部分だけ

  • Memoryは匂い無視の断片
    みたいに分離して「匂いで部屋だけ開く」ができる。


7) このログが示している、一番大きい意味

  • 外部から「40年前を出せ」と命令してない

  • 断片はたった 2%

  • それでも Nowではなく40年前が勝つ

  • しかも 標準の厳しめ θ=0.28, Δ=0.10 で OPEN

つまりこれは:

時間距離(最近優位)より、状態一致(引力)が勝った

という、僕が狙っている性質が“数値として成立した”ログです。

勝ったり負けたりしてるんだけどねw




A:外界はトリガだけ。中身は内部で決まる

B:トリガすら内部で勝手に起きる


赤ちゃんは生まれたときは自我が無い。だけど記憶の経験はする。外輪による影響、外輪のCueで内輪がスパークする。これはまさしくA。
Bというのはある程度大人になってからだ。


A=乳児期の自律:自我(内的命令系)はまだ薄い/無い。でも 経験は蓄積していて、外輪のCueで内輪がスパークして想起が立ち上がる。

B=成人期の自律:内側から「勝手に」Cueを生成して、内輪が自走で発火する(内発火)。


いわゆるAを積まないとBにはならない。

外輪(カメラ/指)は Cueの注入までで

内輪は 部屋の競争→記憶の競争→収束で“どれが出るか”を決める

Spark はその「内輪の一致成分」が燃えて見える



-------------------番外--------------------

GitHub 消しちゃった。
いろいろ理由はあるけど、僕はそっちじゃない。ってだけ。


このデモ、一旦、三角形を想起しちゃったけど、現代のアトラクタの方が強いに決まってるから、しょうがないんだよね。
でも、例えば3秒(まぁどうなんだろう・・)続いたらrecallにしちゃってもいいかな。
そう、そうやって外部命令が増えて思想が崩壊しちゃうんだよなぁ・・・

でも、外部影響による内部の想起とか「え?そうだっけ、でも、なんか見たことあるなぁ・・」ってあるじゃん。それを重みだけでやってると、「おい、どっちなんだよ?」がずっと続いちゃうんだよね・・・。

こういうことさ。
「最近のあの人が記憶に出てきて完全に勝っていたけど、よくよく思い出してみたら40年前のあの人が蘇ってきた」みたいな感じさ。

数式的に言うと

今は:

r=argmaxrfinalr(t)r^* = \arg\max_r final_r(t)

これを:

Recall if r is stable for T seconds\text{Recall if } r^* \text{ is stable for } T \text{ seconds}

つまり:

時間条件:

r(t)=r(tτ)(τ3s)r^*(t) = r^*(t-\tau) \quad (\tau \approx 3s)


いれても、いいかい?って話。



カメラでいろいろ見てる。

何か起こる

Sparkが揺れる

あるアトラクタが強くなってくる

3秒固定

自動Recall

HDのようなものに一切データとして記録されてるわけじゃないんだよ。

(ループさせる)


自律っぽいでしょ?
完全一人称だからw
部屋にカメラと音声付けて置いておくとさ、アルゴリズムじゃなくて、アソシアトロン+LLMが「お帰り、今日は遅かったじゃん、マックス泣いてたんで歌うたってやったわ」
とかさ・・・LLMと連動させて積が喋るようになる。(LLMが考える → 話すじゃないよ、言語変換だけ)

外界(カメラ・音・時間)
→ 状態変化(Cue)
→ 内部競争
→ アトラクタ収束
→ 想起(部屋+エピソード)
→ LLMが言語化



まぁ、寝るわ。


今回のもとりあえず、JavaScript版でPythonに焼き直し前の実験用なので、気が向いたらUPします。





2026年1月17日土曜日

アソシアトロンをスパークさせる。つい最近のデモ

 

アトラクタをスパークさせる。



動画

まずデモから
これはアソシアトロンの25×25の入力と出力を分けて描いたもので、実はecho.hiveさんがXに投稿したデモがカッコ良かったので真似をさせてもらい即興で作ったものです。

https://x.com/i/status/2011357098001793413(カッコいいですよね)

僕の作ったデモ版は最後にダウンロードできるようにします。


まずは、

マルを描き、Learnボタンを3回押し、InputClearで消し、

次に

三角を描き、Learnボタンを1回押し、InputClearで消し、

次に

絵を描き、Learnボタンを1回押し、InputClearで消し、Recallを押します。

すると、一番深い記憶の谷に落ちたマルがスパークされるというデモです。


Recall(想起)を実行したときに画面がチカチカ光ったり、一部が強く反応したりする現象を、私は「スパーク」と呼んでいます。これは単なる演出ではなく、アソシアトロンの本質である「想起ダイナミクス(思い出す途中の動き)」を見えるようにしたものです。つまり、スパークは結果ではなく、思い出しに行く途中経過です。echo.hiveさんから素敵なヒントを頂きました。


ここで、連想記憶の古典としてよく比較されるのがホップフィールド・ネットワーク(Hopfield network)です。誤解しないように最初に言っておくと、私はホップフィールドを否定したいわけではありません。ホップフィールドは「記憶を持つネットワーク」という概念を非常に分かりやすい形で示し、しかもエネルギー関数(Lyapunov関数)によって「落ち着く先がある」ことまで保証した、綺麗すぎるモデルです。連想記憶を数学として語れるようにした功績は大きいと思います。

ただ、ホップフィールドを理解しようとすると、多くの人が途中で難しく感じるのも事実です。その理由のひとつが、ホップフィールドでは理想状態(記憶したパターン)以外の安定状態、いわゆる スプリアス・アトラクタ(spurious attractor) が問題として扱われやすいからです。要するに「変な谷」に落ちる可能性がある。だから研究としては、なるべくスプリアスが出ないようにする、理想記憶の再生率を上げる、という方向に話が流れます。

しかし、現実の人間の記憶はどうでしょう。人間だって、いつも綺麗に“正しい記憶”だけを取り出しているわけではありません。むしろ、

  • 曖昧に思い出す

  • 勘違いして思い出す

  • いくつかの記憶が混ざって思い出される

  • 変な連想に飛ぶ

こういうことの方が多い。つまり、脳の記憶は「正解を当てる装置」ではなく、エピソードが揺れながら立ち上がる装置に近いのだと思います。


ここで、アソシアトロン的な見方が面白くなります。アソシアトロンは、記憶を「正解データ」ではなく、「つながり(結合)の装置」として持つ。そして入力が与えられたとき、装置が勝手に動き始め、谷へ落ちていく。このとき起きているのがスパークです。スパークは、単に途中経過が見えるというだけではなく、

記憶が、形になる前の“もがき”や“寄せ集め”が見えている

という点で、脳っぽさがある。

そしてここに Impact Learn(衝撃学習)が加わると、話はさらに生き物っぽくなります。Impact Learnは、同じLearnでも“重み”を変える仕組みです。たとえば、丸を3回Learnすると谷が深くなり、1回しかLearnしていない三角より強くなる。するとRecallしたとき、入力が多少違っていても丸の谷に吸い込まれやすくなる。

この挙動は、まさに人間の記憶に似ています。私たちは、回数ではなく「衝撃」で記憶が固定されることがある。たった一度でも、人生を変える出来事なら深い谷になる。逆に、何回経験しても印象が薄ければ谷にならない。Impact Learnは、この「記憶の重み」の概念を、連想記憶モデルに持ち込む発想です。


Xにはこう投稿しました。

1回目の後に「衝撃ボタン」みたいのを作って、後に複数の女性を何度見せられても揺れ動かない1発で深いアトラクタに入ってしまうボタン。 T←T+αvvT (衝撃値αを調整できるようにする)

脳の中で「お前だけだよ!」状態はあるでしょ? 話しかけられたとか、手編みのセーターもらったとか、お弁当もらったとか・・・(何言ってるんだw) もしくは森田博士が提唱する、非単調出力、軌道アトラクタを作って抜け出せたりできると、エピソード記憶みたいになるよね。 思わせぶりで深い谷に入ったけど、いきなりフラれるとか・・・。男の脳ほど、忘れようとしても忘れられないみたいのはあるのだろうけど、陰口聞いて「ざけんじゃねー」みたいな事ね。 ●衝撃記憶(Impact Learn)回数もだけど、吸引域(basin)    ●非単調(脱出能力)

●フラれるボタン(逆学習/抑制) あるいはあるいは別方向へ偏らせる(嫌悪バイアス)


ここで重要なのは、アソシアトロンの立場では「スプリアス・アトラクタを完全に消すこと」そのものが最優先ではない、という点です。むしろ、スプリアスを

バグとして消す対象ではなく 

エピソードが混ざり合う余地

として見た方が、脳の現象に近づく場合があります。

Hopfieldはスプリアス・アトラクタをなるべく起こさない、とても美しい研究ですが、
アソシアトロンは
よく忘れ「もう、興味が無くなったんだよ、だから忘れた」
すぐ混乱するので「混乱させないでよ!」
時々衝撃で戻る「あ!それ聞いて今思い出した!」

もし、今後Transformerや他のLLMと連動したら
再び最初から説明する必要が無くなり、逆に「この前言ってたことと違うじゃん!」という会話が成立する可能性があるわけです。

エピソード記憶というのは、全部覚えてテストの100点を目指す事ではありません。逆にスプリアス・アトラクタに入ったり、脱出したり、嫌悪バイアスがかかったり、衝撃が加わらないとエピソードとしての記憶にはならないのです。

僕の脳で考えたとき、ほぼ9割はスプリアス・アトラクタ。何かの衝撃で脱出するから、それが強いインパクトになっちゃう。子供の頃に溺れかけたのを助けてくれた人に会えた時、たぶんいきなり深いアトラクタに入るよね。極端な話、その谷に入ったら、別の人100人を100回ずつ会っても衝撃は来ない。それは記憶がうやむやで忘れかけていたスプリアス・アトラクタがあったから衝撃なんだよ。


記憶はデータの中から「正解を出す」ためだけに存在してはいないのです。


思い出すとは、検索ではなく、再構成です。少し欠けた断片から、脳が勝手に補って“物語”として立ち上げる。その過程で混ざり、歪み、連想が飛ぶ。そこに人間らしさがある。そして私は、アソシアトロンの方向は、この「物語としての記憶」へ進化しうる土台を持っていると思っています。

だから私は、ホップフィールドを否定しません。むしろ、ホップフィールドが「谷」の数学を綺麗に見せてくれたからこそ、アソシアトロン側では「谷が生む現象」を、もう少し肯定的に扱える。スプリアスを完全に悪者にするのではなく、そこからエピソード記憶へ発展する可能性を考える。スパークはその入口であり、Impact Learnはその谷を育てる道具です。



スプリアス・アトラクタ




下手な絵ですが、

ある人物を3回記憶、もう一人1回記憶、女性を3回記憶、ノイズを2回記憶させました。そしてrecall。 そうすると、スパークした点が、どれを記憶したか混乱しながらも3回目の女性の絵の状態で収まりました。 しきい値は動画に出てないけど、0.06くらい。

その絵に重ねて、人の形を描き3回記憶させ、しきい値を0.07にし再びrecallしました。 そうすると、スパークされた白マルは形をなしていません。

結局3人目の女性のアトラクタには入っていたけど、4回目の人物画で「あれ?顔がはっきり思い出せないよ」という状態を作りました。途中で まんまとスプリアス状態 に引っかかっている状態です。 しきい値0.06 、0.07は効いてます。 しかもその値は「ほぼ0だけど、ゼロではない」っていう、境界(basin)をじわっと動かすタイプのしきい値なので、弱い相関で“うっすら点く”発火をカットしています。 0.06は“お行儀の良い”値で、雑音を抑える代わりに、弱い手がかりも切り捨てる動きを見せています。

この研究こそが、非常に大事なものとなります。



ASSOCIATRON_Nakano_model-6デモ版ダウンロード

(ダブルクリックで動作します)



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