2026年7月20日月曜日

夏休み  みんなの量子力学 その1(ファイマン風)デモ付

普通の教え方では、電子について、電子の状態は波動関数で表されると始めます。ファインマン風では、電子を飛ばしてみよう。何が起こるだろう。と始めます。前者は定義から始まるけど後者は自然との遭遇から始まる。ここが随分と違いますよね。

「波でも粒でもある」と教えない

普通の入門説明では、「光や電子は波でもあり、粒でもある」と説明されることがあります。
でも、これは分かりやすい反面、危険だと考えてます。生徒さんは、「電子が途中で波に変身し、観測すると粒へ戻る」ように想像してしまいます。ファインマン風なら、そうは言いませんよね。
「電子は電子である。」私たちの知る粒とも、私たちの知る波とも違う。実験によって、粒に似た結果や波に似た結果を示す。と扱います。つまり、既存の言葉へ無理に押し込めません。

ファインマン風では、「そう計算すると、実験と一致する。」それ以上の、日常語による完全な仕組みは分かっていない。よくやる不思議さを減らすために、説明用の物語を無理には加えません。

普通の初心者向け説明は、しばしば結論だけになります。
電子は波と粒の二重性を持ちます。
観測すると状態が決まります。
位置と速度は同時に決まりません。
これでは、標語を覚えるだけになります。

ファインマン風なら、問いを残します。
電子を一個ずつ飛ばしたのに、なぜ縞になる?
通り道を測ったら、なぜ縞が消える?
赤い光を明るくしても、なぜ電子が出ない?

そして、デモを操作させます。ファインマン風と普通の量子力学は、対立するものではありませんが、ファイマン風で興味を持ったら、普通の量子力学で正確に仕上げる。量子力学の入り口として捉えると楽しく学べるかもしれません。





――小さな世界は「粒」なのか「波」なのか

量子力学という名前を聞くと、難しい数式や、不思議な哲学の話だと思うかもしれません。でも、出発点はもっと単純です。
自然を実際に観察したら、私たちの常識とは違う動きをした。
それだけ。



1.光は波だと思われていた

水面に石を落とすと、波が広がります。
二つの場所から波を起こすと、波と波が重なる。
山と山が重なれば大きくなり、山と谷が重なれば消えます。
光にも同じような現象があります。
細い二本のすき間に光を通すと、その向こうには明るい線と暗い線が交互に現れます。
これは「干渉」と呼ばれます。だから科学者たちは考えました。
光は波なのだ。
ここまでは、なんとなく分かります。


2.ところが、光は粒のようにも振る舞った

金属に光を当てると、金属から電子が飛び出すことがあります。これを光電効果といいます。普通に考えれば、強い光を当てるほど、電子は強く飛び出しそうです。
しかし実験結果は違いました。
光を強くすると、飛び出す電子の数は増えました。けれど、一個一個の電子の勢いは、それほど強くなりませんでした。

電子の勢いを決めていたのは、光の強さではなく、光の色、つまり振動数だったのです。さらに、振動数が低すぎる光では、どれほど強くしても電子は出ませんでした。自然はまるで、こう言っているようでした。

光のエネルギーは、少しずつ連続して届くのではない。一個分ずつ、まとまって届く。
この一個分のまとまりを、光子と呼びます。


3.では、光は粒なのか

あれ?ここで困ったことが起こります。光は、干渉するときには波のように見えます。ところが金属から電子を飛び出させるときには、粒のように見えます。
では、光は波なのでしょうか。
粒なのでしょうか。

答えは少し変な感じかもしれません。

光は、私たちが昔から知っている波でも、昔から知っている粒でもありません。
実験の仕方によって、波のような結果を出したり、粒のような結果を出したりするものです自然が矛盾しているのではありません。「波か粒か」という私たちの分け方が、小さな世界には合っていないかもしれない、という事です。



4.電子を一個ずつ飛ばしてみる

二本のすき間を用意し、そこへ電子を一個ずつ飛ばしてみます。電子は観測装置に当たると、一個の点として記録されます。

まるでのようです。

最初は、点がばらばらに現れます。ところが、何千個、何万個と電子を飛ばすと、点の集まりが、波の干渉模様を作ります。不思議。
電子は一個ずつ飛ばしたはずです。ほかの電子とぶつかったわけではありません。それでも、最終的には波の模様になります。まるで一個の電子が、「こちらのすき間を通る可能性」「あちらのすき間を通る可能性」の両方を持って進んだように見えます。



5.どちらを通ったか調べるとどうなるか

そこで、電子がどちらのすき間を通ったのかを調べる装置を置きます。すると、電子が通ったすき間を知ることができます。しかしそのとき、干渉模様は消えてしまいます。電子は二本の帯のような、粒らしい分布を作るようになります。「人間が見たから電子が驚いた」という話ではありません。電子の通り道を調べるには、電子に光を当てるなど、何らかの物理的な接触が必要です。その接触によって、電子の状態が変わります。観測とは、ただ眺めることではありません。
対象と物理的に触れ合うことです。


6.量子力学は未来を言い当てられないのか

普通の物理では、ボールの位置と速度が分かれば、その後どこへ飛ぶかをかなり正確に計算できます。
しかし量子力学では、「次の電子が、この一点に当たる」とは予言できません。
代わりに、「このあたりには当たりやすい」とか「こちらには当たりにくい」という確率を計算します。これは、単に人間が電子の詳しい事情を知らないからではない、と考えられています。実験を何度繰り返しても、一個一個の結果はばらつきます。けれど大量に繰り返すと、全体としては正確な模様が現れます。一回の出来事は予測できなくても、集まり方は非常に正確に予測できる。

これが量子力学です。



7.可能性の波

電子がどこに現れやすいかを表すために、量子力学では「波動関数」というものを使います。ただし、これは水面の波そのものではありません。電子の可能性を計算するための波です。

普通の確率とは少し違います。
二つの道があるとき、量子力学では、最初から確率を足すのではありません。
まず「可能性の波」を重ねます。
その波は、強め合うことも、打ち消し合うこともあります。
そして最後に、観測される確率を計算します。
だから、電子を一個ずつ飛ばしても、干渉模様が現れるのです。


8.電子は観測される前、どこにいるのか

これは非常に難しい質問です。「本当はどこか一か所にいるが、私たちが知らないだけだ」と考えたくなります。でも量子力学は、観測される前の電子について、古典的な意味で「ここにいる」とは必ずしも言いません。電子は観測されるまで、複数の可能性を持つ状態として記述されます。観測すると、その中の一つの結果が現れます。

ただし、これを「電子が半分ずつ二か所に分裂している」と単純に想像するのも正しくありません。小さな世界は、日常の物体をそのまま小さくした世界ではないのです。



9.不確定性原理

電子の位置を正確に知ろうとすると、運動量、つまり動き方が分かりにくくなります。反対に、運動量を正確に知ろうとすると、位置が分かりにくくなります。それは測定装置の性能が悪いからではありません。

量子の状態そのものが持つ性質です。

位置と運動量を、同時にいくらでも正確に決めることはできません。自然がぼやけているというより、電子は、最初から「正確な位置」と「正確な運動量」を同時には持たないと考えたほうが近いのです。


10.では、机や人間も量子なのか

机も人間も原子からできています。だから、すべての物質は量子力学に従っています。では、なぜ机が波のように二つに分かれたり、人間が壁を通り抜けたりしないのでしょうか。
大きな物体は、周囲の空気、光、熱、床などと絶えず触れ合っています。そのため、量子的な重なりは非常に短い時間で周囲へ広がり、干渉が見えなくなります。小さな世界の規則が消えたわけではありません。たくさんの粒子が集まり、周囲と複雑に触れ合うことで、私たちの知る普通の世界が現れるのです。



11.量子力学が教えてくれること

量子力学は、「人間の意識が宇宙を作る」という話ではありません。「何でも気持ち次第で変えられる」という話でもありません。量子力学が教えてくれるのは、もっと厳しく、もっと面白いことです。「自然は、人間の常識に従う必要がない。」自然を理解したければ、分かりやすい物語を自然に押しつけてはいけません。
まず実験を見る。
結果が常識と違えば、常識のほうを疑う。
ファインマンは、量子力学について、完全に日常的な言葉で説明できると思わないほうがよい、と考えていました。しかし、分からないからといって、何も分からないわけではありません。「電子がどのような確率で現れるか。」「原子がどのエネルギーを持つか。」「光が物質とどう反応するか。」量子力学は、それらを驚くほど正確に計算できます。




DEMO 0 波の干渉

下にcodeを載せています


デモの目的

このデモは、量子力学そのものではありません。量子力学へ入る前に、波は重なると、強くなったり、弱くなったり、消えたりするという「干渉」の基本を理解するためのものです。

画面には三つの波があります。
上:波1
中:波2
下:波1と波2を重ねた結果

青い波と桃色の波を足した結果が、黄色い波として表示されます。

波は衝突して壊れるのではない

普通の物体なら、二つのボールがぶつかれば、進む方向が変わります。しかし波は違います。二つの波が同じ場所に来ると、その瞬間だけ高さが足し合わされます。

たとえば、
波1の高さが +1+1+1
波2の高さが +1+1+1

なら、重ねた波は

+1++1=+2+1 + +1 = +2

になります。

逆に、
波1の高さが +1+1+1
波2の高さが −1-1−1

なら、

+1+1=0+1 + -1 = 0

となります。波が消えたように見えます。ただし、二つの波そのものが消滅したわけではありません。重なっている場所で、一時的に足し算の結果がゼロになっているだけです。


「波2のずれ」とは何か



画面の「波2のずれ」は、二つの波のタイミングの差を表します。物理では、このずれを位相差と呼びます。

0度

波1の山と、波2の山が同じ場所にあります。
谷と谷も同じ場所にあります。
そのため、波は強くなります。
これを強め合う干渉と呼びます。

sinx+sinx=2sinx\sin x + \sin x = 2\sin x

元の波の約2倍の高さになります。



180度

波1の山と、波2の谷が重なります。
波1が上向きなら、波2は同じ大きさだけ下向きです。
そのため、足すとゼロになります。

sinx+sin(x+π)=0
\sin x + \sin(x+\pi)=0

これを弱め合う干渉、あるいは完全に消える場合は完全な打ち消しと呼びます。



90度付近

完全には強め合わず、完全にも消えません。
ある場所では強くなり、別の場所では弱くなります。
つまり、位相差によって合成波の大きさが変わります。



「波の大きさ」とは何か



スライダーの「波の大きさ」は、波の高さです。物理では振幅と呼びます。振幅が大きいほど、波の変化が大きいという意味です。
水面なら、大きな波。
音なら、大きな振動。
光なら、電場や磁場の振動の大きさに関係します。
ただし、光では振幅と光子数の関係を慎重に扱う必要があります。
最初は、波がどのくらい大きく揺れているかと考えれば十分です。



「波の細かさ」とは何か

「波の細かさ」を増やすと、同じ画面の中に多くの山と谷が現れます。
これは波の振動数や波長に対応する感覚です。
山と山の間隔が広い:波長が長い
山と山の間隔が狭い:波長が短い

ただし、このデモでは厳密な単位を与えていません。教材用に、見た目の波の細かさを変えています。


このデモが二重スリットにつながる理由



二重スリットでは、二つのすき間から広がった波が重なります。ある場所では、
山と山が重なる
強くなる
電子や光が現れやすくなる

別の場所では、
山と谷が重なる
打ち消し合う
電子や光が現れにくくなる

その結果、明るい場所と暗い場所が交互にできます。
これが干渉縞です。この干渉DEMO は、その一番単純な土台です。

黄色い合成波は、新しい第三の波が生まれたというより、「青い波と桃色の波が同じ場所に存在したときの、合計の状態」を描いています。量子力学でも、この「足し合わせ」が非常に重要です。ただし量子力学では、単純な水面の高さを足すのではなく、確率振幅と呼ばれる量を足します。そこが古典的な波と量子の違いです。


------- interference.html JavaScript (教育用)なぞってコピペ ------------

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All rights reserved. --> <html lang="ja"> <head> <meta charset="utf-8"> <meta name="viewport" content="width=device-width,initial-scale=1"> <title>量子力学デモ0:波の干渉</title> <style> :root{--bg:#0c1220;--panel:#172033;--line:#2e3e5d;--text:#eef4ff;--sub:#afbed5;--yellow:#ffd166;--cyan:#62d8ff} *{box-sizing:border-box} body{margin:0;background:linear-gradient(#0a0f1b,#11192a);color:var(--text);font-family:system-ui,-apple-system,"Segoe UI","Noto Sans JP",sans-serif} .wrap{max-width:1180px;margin:auto;padding:20px} h1{margin:0 0 6px;font-size:clamp(25px,4vw,42px)} .lead{margin:0 0 18px;color:var(--sub)} .grid{display:grid;grid-template-columns:minmax(0,1fr) 330px;gap:18px}.card{background:rgba(23,32,51,.96);border:1px solid var(--line);border-radius:16px;box-shadow:0 12px 32px #0005} .stage{padding:12px} canvas{display:block;width:100%;height:auto;background:#080d17;border-radius:12px}.controls{padding:18px} label{display:block;font-weight:800;margin:13px 0 6px} input[type=range]{width:100%}.row{display:flex;gap:10px;flex-wrap:wrap;margin-top:14px} button{border:0;border-radius:10px;padding:11px 15px;font-weight:800;cursor:pointer;background:#293a56;color:#fff}button.primary{background:var(--yellow);color:#172033} .note{color:var(--sub);line-height:1.75}.result{margin-top:14px;padding:13px;border-radius:12px;background:#101829;border-left:5px solid var(--cyan);font-weight:800;line-height:1.6} .badge{display:inline-block;padding:4px 9px;border-radius:999px;background:#243451;color:#eaf1ff;font-size:.82rem} @media(max-width:850px){.grid{grid-template-columns:1fr}} </style> </head> <body> <div class="wrap"> <h1>波を重ねると、強くなったり消えたりする</h1> <p class="lead">量子の前に、まず「干渉」そのものを見てみよう。</p> <div class="grid"> <section class="card stage"><canvas id="cv" width="860" height="560"></canvas></section> <aside class="card controls"> <span class="badge">DEMO 0</span> <label>波2のずれ:<span id="phaseText"></span></label> <input id="phase" type="range" min="0" max="360" value="0"> <label>波の大きさ:<span id="ampText">1.0</span></label> <input id="amp" type="range" min="0" max="150" value="100"> <label>波の細かさ:<span id="freqText">3</span></label> <input id="freq" type="range" min="1" max="8" value="3"> <div class="row"> <button class="primary" id="play">動かす</button> <button id="reset">元に戻す</button> </div> <div class="result" id="result">山と山が重なり、波が強くなっています。</div> <p class="note">上の2本が別々の波、下が重ねた結果です。<br>波は物体のようにぶつかるのではなく、一時的に足し合わされます。</p> </aside> </div> </div> <script> const cv=document.getElementById('cv'),ctx=cv.getContext('2d'),W=cv.width,H=cv.height; const phase=document.getElementById('phase'),amp=document.getElementById('amp'),freq=document.getElementById('freq'); const phaseText=document.getElementById('phaseText'),ampText=document.getElementById('ampText'),freqText=document.getElementById('freqText'),result=document.getElementById('result'); let moving=false,t=0,last=0; function wave(x,ph,a){return a*Math.sin(x/W*Math.PI*2*Number(freq.value)+ph+t)} function line(y0,fn,color,width=3){ ctx.strokeStyle=color;ctx.lineWidth=width;ctx.beginPath(); for(let x=0;x<=W;x+=3){const y=y0-fn(x);if(x===0)ctx.moveTo(x,y);else ctx.lineTo(x,y)}ctx.stroke(); } function axis(y,label){ ctx.strokeStyle='rgba(255,255,255,.12)';ctx.lineWidth=1;ctx.beginPath();ctx.moveTo(0,y);ctx.lineTo(W,y);ctx.stroke(); ctx.fillStyle='#cdd8e8';ctx.font='17px system-ui';ctx.fillText(label,18,y-54); } function updateText(){ const p=Number(phase.value); phaseText.textContent=p+'°'; ampText.textContent=(Number(amp.value)/100).toFixed(1);freqText.textContent=freq.value; const c=Math.cos(p*Math.PI/180); if(c>.65){result.textContent='山と山、谷と谷が重なり、波が強くなっています。';result.style.borderLeftColor='#ffd166'} else if(c<-.65){result.textContent='山と谷が重なり、波がほとんど消えています。';result.style.borderLeftColor='#ff7a90'} else {result.textContent='一部は強まり、一部は弱まっています。';result.style.borderLeftColor='#62d8ff'} } function draw(){ ctx.fillStyle='#080d17';ctx.fillRect(0,0,W,H); const a=58*Number(amp.value)/100, ph=Number(phase.value)*Math.PI/180; axis(120,'波1');axis(280,'波2');axis(455,'重ねた波'); line(120,x=>wave(x,0,a),'#62d8ff'); line(280,x=>wave(x,ph,a),'#ff7aa2'); line(455,x=>wave(x,0,a)+wave(x,ph,a),'#ffd166',4); ctx.fillStyle='#afbed5';ctx.font='15px system-ui'; ctx.fillText('青 + 桃 = 黄',W-145,535); } function frame(ts){const dt=(ts-last)/1000;last=ts;if(moving)t+=dt*2;draw();requestAnimationFrame(frame)} phase.oninput=updateText;amp.oninput=updateText;freq.oninput=updateText; document.getElementById('play').onclick=()=>{moving=!moving;document.getElementById('play').textContent=moving?'止める':'動かす'}; document.getElementById('reset').onclick=()=>{phase.value=0;amp.value=100;freq.value=3;t=0;updateText()}; updateText();requestAnimationFrame(frame); </script> <footer style="max-width:1180px;margin:24px auto 0;padding:18px 20px 28px;text-align:center;color:#8fa0b8;font-size:13px;line-height:1.7"> © 2026 C-side Laboratory, Yatsugatake / Yukihiro Watanabe. All rights reserved. </footer> </body></html>

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DEMO  電子の二重スリット



このデモの目的

このデモは、量子力学の中心にある不思議を表しています。電子を一個ずつ飛ばします。一個の電子は、スクリーンに一個の点として当たります。ところが、何千個も集めると、波のような縞模様が現れます。
つまり、「一個一個は粒のように当たる、しかし集まり方は波の干渉に従う」という現象です。


画面の構成


左に電子源があります。中央に二本のすき間があります。右にスクリーンがあります。電子を発射すると、右側に黄色い点が一個ずつ記録されます。黄色い点一つが、電子一個の検出結果です。
--------------デバッグで修正---------
黄色い点ではなく、上の隙間を通った点は水色、下の隙間を通った点はピンクに変更しました。
-------------------------------------------

発射速度:1 個/秒から徐々に増やしていくことをお勧めします。



最初は縞に見えない

電子を1個、10個、20個と飛ばしても、点がばらばらに見えるだけです。これは当然。確率分布は、一回では見えません。コイン投げと同じです。コインを2回投げただけでは、本当に表と裏が半分ずつ出るかは分かりません。1000回、1万回と繰り返すと、全体の傾向が見えてきます。電子の場合も同じです。一個一個の着地点は予測できません。
しかし大量に飛ばすと、決まった模様が現れます。



なぜ中央だけに集まらないのか

電子が単なる小さな玉なら、二つのすき間の後ろに、二本の帯ができそうです。
上の穴を通った電子は上側。
下の穴を通った電子は下側。
普通はそう考えます。ところが、実際の二重スリット実験では、観測しない場合に複数の縞ができます。これは、二つの経路に対応する量子的な可能性が干渉するためです。



このデモで使っている確率分布

観測しない場合には、概念的に次のような分布を使っています。

P(y)=広がり×cos2(ky)


・P(y):縦方向の位置 yyy に電子が当たる確率
・広がり:中央付近に電子が多くなる包み
・cos⁡2(ky):明暗の縞を作る部分

cos2\cos^2は、

大きい場所
ゼロに近い場所
また大きい場所
を繰り返します。そのため、電子が多く当たる帯と、ほとんど当たらない帯が交互にできます。



「縞の細かさ」とは何か

縞の細かさを上げると、スクリーン上の明暗の間隔が狭くなります。
本物の実験では、縞の間隔は次の条件で変わります。

電子の波長
スリット同士の距離
スリットからスクリーンまでの距離

おおよそ

縞の間隔λLd\text{縞の間隔} \propto \frac{\lambda L}{d}という関係があります。

・λ\lambdaλ:電子の波長
・LLL:スリットからスクリーンまでの距離
・ddd:二つのスリットの間隔

電子の波長が長いほど縞は広くなります。
スクリーンが遠いほど縞は広くなります。
スリットの間隔が広いほど縞は細かくなります。
今回のスライダーは、この複数の条件をまとめて「縞の細かさ」として扱っています。


「どちらの穴を通ったか観測する」

このチェックを入れると、干渉縞が消えます。
画面では、二つの幅広い分布へ変わります。
・上のスリットを通った分布
・下のスリットを通った分布

を単純に足した形です。観測しない場合とは、足し方が違います。


観測しない場合

観測しない場合は、可能性の振幅を先に足します。

ψ=ψ1+ψ2\psi = \psi_1+\psi_2

そして、その後で確率を求めます。

P=ψ1+ψ22P = |\psi_1+\psi_2|^2

これを展開すると、

P=ψ12+ψ22+2Re(ψ1ψ2)P = |\psi_1|^2 + |\psi_2|^2 + 2\operatorname{Re}(\psi_1^*\psi_2)

最後の項が干渉を生みます。


---------------◇ ちょっと数式を分かりやすく ◇-----------------

ψ は「確率」ではないよ

数式を難しく考えないでください。まず大事なのは、

ψ1, ψ2\psi_1,\ \psi_2

は、まだ確率そのものではない、ということです。
これは、

・スリット1を通って届く「可能性の矢印」
・スリット2を通って届く「可能性の矢印」
だと思えばよいです。矢印には、
・長さ
・向き

があります。長さは「可能性の強さ」、向きは「波のタイミング」を表します。

 観測しないときは、先に矢印を足す

二つのスリットのどちらを通ったか分からない場合、

ψ=ψ1+ψ2\psi=\psi_1+\psi_2

​とします。
つまり、
・スリット1から来た可能性の矢印と、
・スリット2から来た可能性の矢印を、先に足す
という意味です。



同じ向きなら強くなる

たとえば、二つの矢印が同じ向きで、どちらも長さ1だとします。

ψ1=1,ψ2=1\psi_1=1,\qquad \psi_2=1

すると、

ψ1+ψ2=2\psi_1+\psi_2=2

になります。

確率は、矢印の長さを二乗して求めるので、

P=22=4P=|2|^2=4

です。

別々に確率を計算して足しただけなら、

12+12=21^2+1^2=2

です。ところが実際には4になります。つまり、二つの可能性が強め合ったのです。

反対向きなら消える

今度は、二つの矢印が反対向きだとします。

ψ1=1,ψ2=1\psi_1=1,\qquad \psi_2=-1

すると、

ψ1+ψ2=0\psi_1+\psi_2=0

です。したがって、

P=02=0P=|0|^2=0

になります。スリット1から来る可能性もあり、スリット2から来る可能性もあるのに、結果としてその場所には電子が現れません。これは二つの可能性が打ち消し合ったからです。


式を展開すると何が見えるか

元の式は、

P=ψ1+ψ22P=|\psi_1+\psi_2|^2

です。

これを展開すると、

P=ψ12+ψ22+2Re(ψ1ψ2)P = |\psi_1|^2 + |\psi_2|^2 + 2\operatorname{Re}(\psi_1^*\psi_2)

になります。

初めて向けには、こう分けるとよいです。

P=ψ12スリット1だけの確率+ψ22スリット2だけの確率+干渉の分強めたり、弱めたりするP = \underbrace{|\psi_1|^2}_{\text{スリット1だけの確率}} + \underbrace{|\psi_2|^2}_{\text{スリット2だけの確率}} + \underbrace{\text{干渉の分}}_{\text{強めたり、弱めたりする}}

​​つまり、
・1番目の道の確率
・+2番目の道の確率
・+二つの道が重なったことで生まれる増減

です。
最後の

2Re(ψ1ψ2)2\operatorname{Re}(\psi_1^*\psi_2)

が、その「増えたり減ったりする分」です。


Re^* は何か

初めての方向けには、最初は深く入らなくてもいいかも

ψ1ψ2\psi_1^*\psi_2

​は、「二つの矢印の向きが、どれくらい揃っているか」を調べる計算です。
そして、

Re\operatorname{Re}

は、その中から実際に確率へ効く部分を取り出す記号です。

ざっくり言えば、
・同じ向きに近い → プラス
・反対向きに近い → マイナス
・直角に近い → ほぼゼロ
になります。

量子の世界では、確率をそのまま足さない。まず「可能性の矢印」を足し、その長さを二乗して確率にする。矢印の向きが揃えば強くなり、反対なら消える。これが干渉。

---------------◇ ちょっと数式を分かりやすく 終了 ◇-----------------

少し脱線しました・・・


観測する場合

どちらを通ったか区別できる場合は、

P=ψ12+ψ22P = |\psi_1|^2+|\psi_2|^2



となります。干渉を作る項がありません。そのため縞が消えます。
まずは、式を見せなくても、
「通り道を区別できないときは、可能性同士が重なる」
「通り道を区別できると、二つの結果を普通に足す」

という理解でいいのかと思います。



「人間が見たから変わる」のではない



よく、「人間が見たから電子の動きが変わった」と言われます。しかし、これは誤解を招きます。人間の意識が特別な力を持っているという意味ではありません。経路を調べるには、電子と何かを物理的に相互作用させる必要があります。

たとえば、「光を当てる」「検出器と接触させる」「電子の状態を別の装置に記録する」といったことです。その相互作用によって、二つの経路の関係が変わります。
人間が知ったかどうかよりも、経路の情報が物理的に残ったかどうかです。


このデモは電子の飛行軌道を計算しているのか


していません。
このデモでは、電子一個一個がスリットを通って曲がる軌道を計算しているわけではありません。スクリーンに現れる最終的な確率分布を作り、その分布に従って点を置いています。つまり、実験結果の分布を可視化する教材です。本物の量子力学を厳密に解くなら、シュレーディンガー方程式を使って波動関数を時間発展させる必要があります。

ただ、入門の入口向けには、まず「一個ずつは点」「大量に集まると縞」を見てもらうことが重要です。



右側の青い帯は何か

右端の青い棒グラフは、スクリーンの各位置に何個の電子が当たったかを数えたものです。黄色い点だけでは、数が増えると重なって見えにくくなります。そこで縦方向を細かく区切って、
この高さには何個
この高さには何個

と集計しています。電子数が増えるほど、干渉縞の形がはっきり見えてきます。


------- double_slit.html JavaScript (教育用)なぞってコピペ ------------

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-----------20260720 14:26 デバッグ ----------

上の穴を通った電子:青
下の穴を通った電子:桃
電子源 → 穴 → 着弾点:薄い点線
「点線は実際の軌道ではなく、経路を区別できたことを示す説明線」という注記

--------------------------------------------------------------
ちょっと休憩w



DEMO 2 光電効果


このデモの目的

このデモでは、「光を明るくすること」と「光の色を変えること」
が、同じ意味ではないことを示します。金属に光を当てると、電子が飛び出すことがあります。光が単なる連続した波なら、強い光ほど多くのエネルギーを金属へ運ぶはずです。
そのため、昔の感覚では、赤い光でも、十分に明るくすれば、いつか電子が飛び出すだろうと考えられます。しかし実験ではそうなりません。ある周波数より低い光では、どれほど明るくしても電子は出ません。


光子一個のエネルギー

量子力学では、光のエネルギーは光子という単位でやり取りされます。一個の光子のエネルギーは、 E=hfE=hf


・E:光子一個のエネルギー
・h:プランク定数
・f:光の振動数

振動数が高いほど、一個の光子のエネルギーは大きくなります。

色で言えば、
・赤:振動数が低い
・青:振動数が高い
・紫:さらに高い


波長で表す式

光の速さは、

c=fλc=f\lambda
です。したがって、 f=cλf=\frac{c}{\lambda}となり、E=hcλE=\frac{hc}{\lambda}​と書きます。

波長が短いほど、光子一個のエネルギーは大きくなります。
デモでは簡便な式として、
E[eV]1240λ[nm]E\,[\mathrm{eV}] \approx \frac{1240}{\lambda\,[\mathrm{nm}]}​を使っています。
たとえば波長540 nmの緑色光なら、
E12405402.30 eVE \approx \frac{1240}{540} \approx 2.30\ \mathrm{eV}

です。



金属から電子を出すためのエネルギー

電子は金属の中に束縛されています。外へ出すには、最低限必要なエネルギーがあります。
これを仕事関数と呼びます。
記号では、 ϕ\phi


を使います。
光子一個のエネルギーが仕事関数より小さい場合、

hf<ϕhf<\phi
電子は飛び出せません。




光子のエネルギーが十分な場合

光子一個のエネルギーが仕事関数を超えると、

hf>ϕhf>\phi
電子が飛び出せます。余ったエネルギーは、電子の運動エネルギーになります。

Kmax=hfϕK_{\max}=hf-\phi

これがアインシュタインの光電効果の式です。



光の明るさを上げると何が変わるか

明るさを上げると、単位時間あたりに届く光子の数が増えます。


・光子一個のエネルギーは変わらない
・光子の個数が増える

ということです。
電子を出せる色なら、明るくするほど飛び出す電子の数は増えます。しかし、一個一個の電子の最大運動エネルギーは、基本的には増えません。なぜなら、電子一個は一個の光子からエネルギーを受け取るからです。



光の色を変えると何が変わるか

色を青や紫へ変えると、波長が短くなります。すると、光子一個のエネルギーが大きくなります。そのため、「電子が飛び出せるようになる」、「飛び出した電子の最大運動エネルギーが増える」という変化が起こります。

一方、赤い光へ変えると光子一個のエネルギーが小さくなります。
仕事関数を下回ると、どれほど明るくしても電子は出ません。



金属を変える意味


金属ごとに電子の束縛の強さが違います。つまり仕事関数が違います。
デモでは、
セシウム
カリウム
亜鉛


を選べるようにしています。セシウムやカリウムは比較的電子を出しやすい金属です。亜鉛や銀は、より高いエネルギーの光が必要です。
同じ緑色の光でも、「カリウムでは電子が出る」「銀では出ない」という違いが起こります。




閾値周波数

電子が飛び出すぎりぎりの振動数を、閾値周波数と呼びます。

f0=ϕhf_0=\frac{\phi}{h}

この周波数より低いと、電子は出ません。波長で言えば、閾値波長があります。

λ0=hcϕ\lambda_0=\frac{hc}{\phi}

これより波長が長い、つまり赤い側の光では電子が出ません。



デモ内の光の円錐



光源から金属板へ広がる色付きの領域は、光が照射されている範囲を表しています。光の粒子そのものを厳密に描いているわけではありません。小さな色付きの点が光子です。青い点が、飛び出した電子です。




電子の速さについて


デモでは、余ったエネルギーが大きいほど、電子を速く動かしています。ただし画面上の速度は、理解しやすくするために拡大しています。本物の電子の運動を、画面のピクセル単位で正確に再現しているわけではありません。


Kmax=hfϕK_{\max}=hf-\phi

本来は色が高エネルギーになるほど、電子の最大運動エネルギーが増えます。




明るさ100%でも出ない場合


これはバグではありません。光子一個のエネルギーが足りないからです。たとえば、仕事関数が4.7 eVの銀に対して、光子一個が2.0 eVしか持っていなければ、何個光子が来ても、通常の光電効果では一個の電子を出せません。

出口を開けるには、一枚500円の切符が必要。
100円玉を何人が持ってきても、一人分の切符にはならない。
少し乱暴な比喩ですが、光子一個と電子一個のやり取りを理解するには役立ちます。
ただし、非常に強いレーザーでは多光子過程が起こることがあります。
このデモでは、そうした高度な現象は扱っていません。




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<!doctype html> <!-- Copyright © 2026 C-side Laboratory, Yatsugatake / Yukihiro Watanabe. 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code汚くてすみません。意地でもGitHub使わない主義なので(笑)
Atra(一人称自律システム)はハード的に少しメンテナンスしています。
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---------------------Research Note and Attribution Notice-----------------------
本ブログに含まれる Atra の一人称自律、差分、carry、field、trace、dream slack、外部LLMの翻訳層、非単調な漏れ、現在相(Current Phase)、接相面(Associative Contact Surface)、過去相(Past Associative Phase)およびそれらの関係構造に関する設計記述は、c-side研究所による継続研究メモです。引用・参照・要約・翻案を行う場合は、出典を明記してください。

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