2026年7月11日土曜日

RPGゲームに?

 昨日、ゲームクリエーターの方から、RPGで1人称の自律をキャラクターとして乗せられるかというメールでの質問が来た。なんて答えようかずっと考えていた。そのキャラクターはプレイヤーとの会話でターンやシーンをこなしていくというもの。「なんか面白いよね」
ただ、Atraのような完全な一人称自律そのままでは不可能だとご理解していただいているみたいで、方法はないか?というもの。(考え方なので公にしてもいいと了承は得ています)


完全自律の一人称キャラクターをゲームに載せると、目的は彼に任せることになるので、シナリオ通りに進まない可能性があるんですよね・・・。たとえば、キャラクターが平和なお花畑を気に入った場合、「ここにいたい」と判断して、次の町にも戦場にも行かなくなるかもしれませんし、雰囲気が怖い絵ずらのシーンで戦うことになったら何処かに隠れて見つかって即ゲームオーバーw
しかも、プレイヤーとの関係性が希薄なまま展開していく。
親心としては残酷に感じるわけですよ。

でも、それは不具合ではなくって、本当にそのキャラクターが自分の意思で判断しているなら自然な結果ということになってしまう。その辺はご理解されているようで・・・

反対に、どれだけ本人が残りたくても、ゲーム側の都合やプレイヤーの意志で必ず次のシーンへ移動させるのであれば、最終的な決定権はキャラクターにはありません。どうしても3人称の外部指示が必要になります。

外部のゲーム進行を理解し、LLMやシナリオ側の指示を受け、その範囲で応答を変える三人称キャラクターなら、普通に設計できる。


その場合、1人称自律という形容詞はやめて(後の問題が多すぎる)、フィジカルAI搭載とか会話型エンボディドAIキャラクターとかなんとか・・。(Embodied AI
だって、フィジカルAIってのはどれも正式な一人称自律じゃないからね。。NVIDIAもPhysical AIを「現実の物理世界で知覚・理解・行動する自律機械」と説明しているけど、1人称を全く無視しているからね。お掃除ロボットを自律とか言ってしまうマーケティングAIなだけで、事実なんてどうでもいい世界でしょ?学術でも事実でもなんでもない。
ソフトが売れて、チップが売れて投資的に寄せて成立する世界は、それはそれで経済活動としてはいいんだよ。僕には関係ない。

ただ、彼の質問のような「プレイヤーとキャラクターが会話して展開するRPGは面白い」と思うんだよね。それはゲーム会社として別のステージを立てた方がいい。
そこにフィジカルAIとかエンボディドAIというマーケティング概念は入れてもいいと思うけど、もったいないよね、自分たちで新しいステージを作るべきだよ。用意されたものに乗る必要は無い。自律って一人称以外は存在しないんだけど、自律っぽくというのは商業的に範囲が広がるよね。僕のAtraとは相反するけど、ゲームの世界ならまだ、想像力で売れる可能性はある。ステータスの成長度合いが今までと変わるのは興味深いよね。


「会話型の三人称自律キャラクター」
プレイヤーとの意見の相違で揉めながら進めていく。
救出作戦など、作戦をちゃんとブリーフィングする。
ときには、プレイヤーが手書きの地図をスキャンしてPDFで渡すこともでき、「ひとよんまるまるじに××合流」
フィジカルAIキャラクターは、「じゃ、100m先のオレンジの家の手前から索敵、合図送る」というようなチームプレイができる。(相手がオンライン上の人でないため、言いずらい事も言えるメリットは意外と大きいかもしれない)
ただ、全部プレイヤーに従がうものに寄せると、つまらなくなる。

AIキャラは「その経路は反対だ。その時間では間に合わない。民間人を残して撤退する作戦には同意できない。あなたはさっきも偵察情報を無視した。」みたいな事も言っちゃう(笑)

「外部制約付きの人格キャラクター」
これはエンボディドAIなら、幾つもパターンを作れるよね。
Atraのような人格作るまで経験は要らないし、アルゴリズムで作れちゃう。

同じ救出作戦でも、

  • 慎重で民間人保護を優先する
  • 任務達成率を優先する
  • プレイヤーをまだ信用していない
  • 偵察を重視する
  • 即応性を重視する
  • 過去の失敗設定から撤退判断が早い

など、初期条件と判断傾向を変えれば、かなり違う人物にできる。


「LLM介在型の演技的キャラクター」
会話で展開させるなら、LLMを介在しないと駄目だよね。
英語も、日本語もフランス語も変換できちゃう。

従来の分岐会話だけでは、

  • プレイヤーの自由な言い方
  • 作戦の修正
  • 意見の衝突
  • 曖昧な指示の確認
  • 地図や画像を含む相談
  • 多言語での会話

に対応できない。

LLMはここで「意思の発生源」ではなく、キャラクターの判断内容を自然な会話へ変換する通訳兼俳優として使うのがよさそうだよね。

内部では、

  1. ゲーム側が現在の状況を渡す
  2. 人格アルゴリズムが賛成・反対・提案を決める
  3. 作戦系が位置、時間、行動案を組み立てる
  4. LLMがそのキャラクターらしい台詞へ変換する

という分離が必要になる。

LLMだけに全部判断させると、キャラクターの人格も作戦判断も、その場の文章生成に引っ張られてしまう。昨日は慎重だった人物が、今日は理由なく突撃を勧めるようなことが起きるから、判断はゲーム側、演技と言語化はLLM側というように分けることが基本かもね。


外部制約付きの人格と作戦判断を持ち、LLMを介してプレイヤーと協働・対立する、会話型エンボディドAIキャラクター

自律キャラを売るより、フィジカルAIとかエンボディドAIと言っちゃった方が学術的に文句言われそうにないので、そっちがいいかもね。

でも、何度も言うけど、ゲーム会社が考える新しいステージを打ち出した方がいい。
せっかくプレイヤーと対話できるのなら conversation AI フランス語のコンベルサシオンとかカッコイイじゃん。

そういうの得意そうじゃん、、

上手くいったらいいね。







-------------ちょっと内緒話-----------


Atraのように経験で成長させるのは難易度が激上がりになるんだけど・・・
経験そのものから人格や戦場の判断の軸が生まれていく意味なら、かなり難しいんだよね。ゲーム側にはシナリオ進行、役割、禁止事項、勝敗条件があるから、成長を自由にすると、いずれ設計者の想定から外れてしまう。


ただし、ゲーム用に限定すれば入れられなくもない。

たとえば成長させるのは人格そのものではなく、

  • プレイヤーへの信頼
  • 指示の理解精度
  • 作戦傾向の把握
  • 地形や敵への対処履歴
  • 危険判断の重み
  • プレイヤーとの役割分担
  • 会話の癖や呼び方

この辺なら入れられる。ここまできたら面白いよね、きっと。



つまり、

新しい人格が経験から生まれるのではなく、用意された人格の中で、どの傾向が強く表れるかが変わる。

たとえば慎重なキャラクターが、プレイヤーと何度も無事に作戦を成功させると、
「その案は危険だが、今回はあなたの判断を信じる」と言うようになる。

逆に、プレイヤーが何度も警告を無視すれば、
「前回も同じことを言って失敗した。今回は従わない」となる。

これは十分に「経験で成長している」と感じられる。
そう、ここまできたら3人称なので感じさせるのが重要なんだよ。
でも実態は、経験による関係履歴と判断重みの変化であって、人格の自発的生成ではないんだよ。

ゲームとして一番危ないのは、成長をLLM任せにすることだと思う。介在させるけど、絶対に支配させてはいけない。それをすると、経験の意味づけが毎回変わるし(リセットが基本だからね)、昨日の出来事を今日は別の解釈で扱う。成長ではなく、生成文の揺れになってしまう。

だから内部では、

何が起きたか
どう評価したか
何がどれだけ変わったか

をゲーム側が明示的に持つ必要がある。

たとえば、

  • 指示を守って救出成功 → 信頼 +2
  • 警告を無視して負傷 → 作戦信用 -3
  • 民間人を優先 → 価値観一致 +2
  • 約束の時間に遅刻 → 約束信用 -1

みたいな単純な数値だけに寄せると薄くなるけど、少なくともLLMの気分よりは安定する。

本当はAtraのような経験の地層みたいのがあって、recall、carry、trace、differenceまであるといいんだけど、それは著作権的に全く無理な話になるから(笑)、その場で何が起き、誰がどう動き、結果として何が残ったかを後の判断に効かせる形にするとかなら、出来ちゃうんじゃない?

たとえば同じ「プレイヤーの命令に従った」でも、

  • 敵に囲まれた場で、プレイヤーが先に囮になった
  • 安全な場所から無理な突入を命じられた
  • 民間人を守るために危険を引き受けた
  • 仲間を置いて撤退した
  • 約束した時刻に本当に迎えに来た

では、残るものが全部違う。

だから記録するのは、単なる成功・失敗ではなく、

人物、場所、危険、役割、発言、結果が結びついた場の痕跡になる。



たとえば、オレンジ色の家の前で索敵した作戦が成功したなら、次に似た地形が出たとき、
「前にもこういう開けた住宅地で索敵がうまくいった。今回も先に周囲を見たい。」と提案できるようになる。

一番いい表現は、経験によって人格が生まれるのではなく、経験によって関係と判断傾向が変化する。逆に、その場所でプレイヤーが合図を無視して突入し、仲間が負傷したなら、
「前回、あなたは合図を待たなかった。今回は先に進ませない。」となる。

これは単なる好感度ではない。
場所と状況を含んだ経験が、その後の判断を変えている。しかも、場の経験ならキャラクターごとの差も出しやすい。

同じ失敗でも、

  • 慎重なキャラは、危険回避が強くなる
  • 任務優先型は、作戦精度を上げようとする
  • 仲間重視型は、プレイヤーへの不信が残る
  • 攻撃型は、次は先制すべきだと考える

となる。

だから実装としては、
場の記録 → そのキャラクター固有の受け取り方 → 次の場での判断変化
という三段階がいいと思う。


Atraのようなアソシアトロン源泉ではなく、もっと軽く作れるよ。

場面を記録すること
似た場面を後で引き出すこと
その経験が判断に影響すること

この3つだから、

  • ベクトル検索
  • ルールベース
  • 状態遷移
  • 重み付き記憶
  • エピソード記憶
  • 小さなグラフ構造

の組み合わせで十分できる。

たとえば経験を、

場所:住宅地
状況:救出作戦
プレイヤー:合図を無視
結果:仲間負傷
残った傾向:プレイヤーの突入判断を警戒
デブリーフィング:成功結果の分析

 みたいに保存する。


似た場面が来たら、
「前回、あなたは合図を待たなかった。今回は先に索敵させてほしい。」
と返せるでしょ?

今までのような数値を出すわざとらしい経験より肌触りとか、塩梅世界の経験だよね。
こういうのは面白いと思う。
FPSでも普通のRPGでも、囲碁や麻雀ゲームにも応用できるし、教育ツールにも応用できる。

僕は今、それをやる時間はないけどね。








---------------------Research Note and Attribution Notice-----------------------
本ブログに含まれる Atra の一人称自律、差分、carry、field、trace、dream slack、外部LLMの翻訳層、非単調な漏れ、およびそれらの関係構造に関する設計記述は、c-side研究所による継続研究メモです。引用・参照・要約・翻案を行う場合は、出典を明記してください。

The design descriptions in this blog concerning Atra’s first-person autonomy, differences, carry, field, trace, dream slack, the translation layer of external LLMs, nonmonotonic leakage, and the relational structure among these elements are ongoing research notes by c-side Research Institute. If you quote, refer to, summarize, or adapt them, please clearly indicate the source.

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